ゆがふ
兼城「う~ん…。 ん?」
文也「どうしたんですか?」
柴田「…店長?」
兼城「いや… 今 何か こう ふ~っと…。」
2人「『ふ~っと』?」
兼城「ふ~っと 幸せが 通り過ぎた ような気がしてよ…。」
文也「はぁ?」
柴田「『幸せが』…?」
兼城「うん…。」
柴田「そ… それ 大変でしょう。」
兼城「こんな小さくない!」
柴田「あ そう…。」
紺野家
恵理「はい 終わりました。」
恵理「体重も増えてないですし むくみもありませんから 大丈夫ですよ。 じゃ お湯 捨ててきましょうね。」
一風館
グアテマラ
恵理「あ~ぁ。」
奈々子「あ~ぁ…。 疲れたねえ?」
恵理「はい。」
(物音)
恵尚「あ イタ! あ~ あ~。 アッハハハ…。 ハイサイ! ただいまさん!」
恵尚「奈々子… ただいま。 チュ~。」
奈々子「何が チュ~ですか。 …恵尚さん!」
恵尚「えっ?」
恵理「おぉ?」
恵達「お母さんみたい。」
祥子「うん。」
奈々子「話があるのよ。 そこへ 座って下さい。」
恵尚「え? あ… はい。」
奈々子「ギャグは 要らない!」
恵尚「はい すみません。」
奈々子「恵尚さん これ…。」
恵理「えっ 離婚届?」
恵達「えっ?」
祥子「ウソ!」
恵尚「え… そんなぁ!」
奈々子「違うわよ。 那覇までの切符です。 あなたは 那覇に帰って『島袋製作所』に借金を返すまで 働きなさい。 それまで 帰ってこなくても よろしい。」
恵尚「ええっ? そんな…。」
奈々子「もし そうしなかったら… 離婚します。」
恵尚「げぇ…。 それは 嫌です。」
奈々子「私の貯金で 返しても いいけど それじゃ ダメだと思う。 好きな事をして 生きるのは いいの。 でも 責任はとって。 今 あなたが行かないと きっと お父さんや お母さん それに おばぁが 何とかしてしまうよ。 そんな事になったら 私… 古波蔵家の家族で いられない。 分かる?」
恵尚「…はい。」
奈々子「じゃ 今すぐ 行きなさい!」
恵尚「『今すぐ』?!」
奈々子「そうです。 今すぐ!」
恵尚「…はい。『チュ~』も ダメ?」
奈々子「ダメ!」
恵理「兄い兄い 頑張ってよ!」
恵達「社長に よろしく!」
祥子「古波蔵家にも…。」
恵尚「はい。」
恵理「すごいね 姉え姉え。 恰好よかったさ。」
祥子「うん。 私も見習おうっと。」
奈々子「はぁ…。 ちょっと 今すぐは かわいそうだったかな…。 ちょっと 一緒に 空港へ行ってくる。」
恵理「え?」
恵理「かわいい。」