漁協前
アキ「おはようございます!」
黒川「アキ!」
アキ「パパ。」
黒川「お別れを 言いに来たよ。 元気でな パパ 東京帰るから。」
アキ「まだ いたんだ?」
黒川「うん まだいた。 名残惜しくてさ ぶらぶらしてた。」
アキ「まめぶ食べた?」
黒川「まめぶ? あの甘いんだか しょっぱいんだか ハッキリしないスープ?」
アキ「そこが いいんだよ。 分かってないな。」
黒川「そうなんだ。 似合うな それ。」
アキ「へへ!」
黒川「潜って ウニ取るのか?」
アキ「ばあちゃんが 危ないから まだ駄目って。」
黒川「そうか。」
アキ「パパ そろそろ行かなきゃ。」
黒川「パパいなくて 寂しくないのか?」
アキ「ママがいるから 平気。」
黒川「ふ~ん。 ママと 2人で 何しゃべるんだ?」
アキ「パパの事。」
黒川「嘘! どんな事?」
アキ「大体 悪口。 多分 手紙に書いてあるよ。」
黒川「そうか。 ど~れ じゃあ 手紙 読みに帰るか! また来るわ。」
アキ「また来るの?」
黒川「いや 分かんないけど。」
アキ「じゃあ 今度来る時まで 潜れるようになってる。」
黒川「うん。 頑張れ。」
アキ「うん 頑張る!」
黒川「ママの事 よろしく頼んだぞ!」
浜
<アキは 焦っていました。 8月に入っても 海女クラブの会長から 素潜りの許可が 下りないのです。 このままじゃ 夏休みが終わってしまう。 海女さんになる前に 2学期が始まってしまう>
(シャッター音)
(シャッター音)
(シャッター音)
ヒビキ「あ!」
アキ「何ですか? 何ですか?」
ヒビキ「ふん。」
アキ「ちょっと 何撮ったんですか?」
(犬のほえる声)」
アキ「あ! ちょっと! ちょっと!」