日本放送協会
智彦「古山先生!」
裕一「お義兄さん!」
智彦「視察で参りました。 先生 ご活躍で何よりです。」
裕一「お義兄さんもお忙しそうで。」
智彦「早く前線に出られるよう 志願してるところです。 それでは また。」
裕一「あっ 大将。」
鉄男「おう。」
裕一「ごめん わざわざ 来てもらって。」
鉄男「いや 古山裕一の知り合いって言ったら入れた。」
鉄男「あの人も随分偉くなったみてえだな。」
「先生 原稿です。」
鉄男「裕一のおかげか?」
裕一「いや 僕は関係ない。」
鉄男「…で 話って何だ?」
裕一「うん。 久志から電話があってね。」
鉄男「うん。」
裕一「召集令状が来たって。」
鉄男「ついに来たか…。 あいつ 何か言ってたか?」
裕一「うん… いや それがね…。」
回想
久志☎『ちなみに 壮行会なんて 絶対 やんなくていいから。」
裕一「うん? うん?」
久志☎「いやいや 本当に。 うん。 気を遣わなくていいから。」
裕一「それって つまりさ…。」
鉄男「やれってことだよね。」
裕一「…ことだよね。」
鉄男「うん。 フッ…。」
古山家
恵「こんばんは~。」
保「こんばんは。」
2人「こんばんは。」
恵「こんなご時勢だし 大したもの持ってこれなかったけど。」
音「いやいや うちも もう これぐらいしか…。 そういえば お店の名前 変わってましたね。 看板に『竹』って。」
恵「敵性語は禁止だからね。 あっ… ジャジャ~ン!」
華「わっ クッキーだ!」
保「それはね おからで作ったんだよ。 小麦粉が手に入らないからね。」
恵「華ちゃん たくさん食べてね。」
華「うん!」
音「ありがとうございます。」
裕一「久志 連れてきたよ。」
こける久志
保「わっ!」
久志「フフフ…。」
出直そうとする久志
裕一「久志 久志 久志…。」
久志♬『土も草木も 火と燃える 果てなき曠野 踏みわけて 進む日の丸』
恵「普通 送り出す方が歌うんじゃないの?」
音「本人たっての希望で。」
久志♬『明日の命を 誰か知る』
(拍手)
久志「みんなのおかげで 今の僕がいます。 私 佐藤久志は 明日 出征いたします。 お国のために 力を尽くしてまいります!」