居間
音「さようなら。 気を付けてね。」
弘哉「裕一さん。」
裕一「うん?」
弘哉「ちょっといいですか?」
裕一「うん。 どうしたの?」
ハーモニカを修理する裕一
裕一「はい。 できた。」
(ハーモニカの音)
裕一「うん。」
弘哉「ちゃんと鳴る! よかった。 ありがとうございます。」
裕一「いいえ。」
弘哉「僕 お礼に肩もみます。」
裕一「えっ? いいの? ありがとう。 じゃあ お願いします。」
裕一「ああ… うまいね。 気持ちいい!」
弘哉「母ちゃんにも いつも褒められます。」
裕一「へえ~ お母さんの肩も もんであげてるんだ。」
弘哉「父ちゃん死んでから 母ちゃん 女手一つで僕を育ててくれたんです。 仕事も家のことも 一切 手を抜かず きっちりやって すごいんです。」
裕一「お母さん お仕事 何してるの?」
弘哉「銀行の事務員です。」
裕一「へえ~。 僕もね 昔は銀行にいたんだ。」
弘哉「えっ そうなんですか?」
裕一「うん…。 でもね どうしても 音楽 諦めきれなくてね…。 自分の道は自分で選ばなきゃと思ってね。」
弘哉「自分の道は自分で選ぶ…。」
裕一「うん。」
弘哉「裕一さん。」
裕一「うん?」
弘哉「今 楽しいですか?」
裕一「う~ん… 最近… 楽しいか楽しくないかっていうより う~ん… とにかく必死っていうのが 正直なところかな‘~。」
玄関
音「また来週ね。」
裕一「気を付けて。」
弘哉「はい 失礼します。」
音「うん。」
裕一「あれ? 大将?」
鉄男「よう。 ちと 話があんだ。」