夜
智彦「ああ… 寝た?」
吟「うん。『布団って あったけえな~』って 言ったら… すぐ。」
智彦「ハハッ… そうか。 お前も飲むか?」
吟「あら… 珍しい。」
智彦「お前… そんなに いける口だったのか。」
吟「フフッ。 どうしたの?」
智彦「いや… いい。」
吟「お願いします。 今日は ちゃんと話して下さい。」
智彦「会社に誘ってくれた松川が言ったんだ。 同期がラーメン屋なんて恥ずかしいって。 言われた時 ものすごく怒りが湧いた。 フッ… 前は 俺も見下してたのに。」
吟「ラーメン屋に… 戻りたいの?」
智彦「分からないんだ… なぜ こんな気持ちになるのか。」
吟「昔ね… 裕一さんが迷ってる時 軍人は人のためだから 命を懸けて戦えるって あなた言ったの。 あなたの誇りは 軍人である誇りじゃない。」
吟「人のために命を燃やせるのが あなたの誇り。 そう信じて… 私は あなたに ついてきました。 貿易会社でも ラーメン屋でも どちらでもいい。 その生き方ができる選択をしてほしい。」
智彦「吟…。 ありがとう。」
貿易会社
智彦「すまん! 許してくれ。」
松川「どうしてだ? 不満があったら言ってくれ。」
智彦「あそこのラーメン屋は… うまいんだ。」
闇市
ラーメン屋
智彦「申し訳ございませんでした! もう一度 雇って下さい! 俺には… これしかないんです!」
天野「おい。 その大層な服 脱げ。」
智彦「はい。」
天野「いらっしゃい。」
智彦「いらっしゃいませ! ご注文 何しましょう?」
天野「もっと きつく縛れ。」
智彦「はい。」
天野「そうそう。」
天野「手首な。」
智彦「はい。」
天野「うん。」
天野「俺がいなくなっても油断すんじゃねえぞ。」
その後 天野は 代々木に店を構え 屋台は 智彦が引き継ぐことになりました。
天野「後は頼んだぞ。」
智彦「はい! 繁盛させてみせます!」
「注文いい?」
智彦「はい! いらっしゃいませ!」
ケンの元へ
智彦「はあ…。 お前… ラーメン屋 手伝え。 うちに住み込みで。」
ケン「住み込み? 俺は 一人が好きなんだ。」
智彦「吟も望んでる。 頼む。」
ケン「まあ… 飯がうまいから いいぜ。」
智彦「ハハッ… そうか! よ~し! 行くぞ!」