連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第124話「戦争と楽園」

三井「へえ!」

笹岡「変わりもんだったけどね。」

三井「いやいやいや!」

茂「いやいや しかしね そういう軍医殿も 相当の変わりもんでしたぞ。」

笹岡「私がかね?」

茂「ええ。 中尉のくせに 点呼の時に 軍刀 忘れては 上官に説教されとった。」

布美枝「あら…。」

(2人の笑い声)

茂「あ 大声で 『オー・ソレ・ミオ』なんぞを 歌ったりもして。」

布美枝「『オー・ソレ・ミオ』ですか?!」

三井「そりゃ ひどいなあ!」

笹岡「いやいやいや まあ 軍隊の中では お互い 落ちこぼれだった訳だ。」

(3人の笑い声)

三井「ん? どうしたの?」

布美枝「あ 喜子ったら いつの間に…。」

笹岡「こんにちは。」

喜子「こんにちは!」

三井「こんにちは。 フフフッ…。」

布美枝「おじいちゃんとこに おやつあるから 上へ行っといで。」

喜子「は~い。」

布美枝「お手々 洗ってね…。 あ すいません。」

三井「いやいやいや。」

相沢「先生 ちょっといいですか?」

茂「ん?」

相沢「原稿の確認 お願いしたんですが。」

茂「ああ。 ちょっと失礼。」

笹岡「あ どうも どうも。」

茂「何だ?」

相沢「ここなんですけども。」

茂「ああ ここは あれだ。」

布美枝「すいません。 下の娘 人の左腕が 気になるようになって…。」

三井「そうか… なるほどな。」

布美枝「主人 腕の事で 愚痴めいた事 ひとつも言った事ないですから 私も いつもは 忘れてしまうんです。」

笹岡「彼は あの頃から 明るかったですよ。 フフッ…。」

布美枝「え?」

笹岡「普通は 体に傷を負うと どうしても 悲観的に なってしまうもんですが いや… 村井君は 明るかった! 畑仕事を するにしても 陣地構築を するにしても 飄々と 平気な顔して やってました。」

両親の部屋

修平「あっ あっ あっ! やられた~! ぐ~!」

客間

茂「自分は 人より食欲があるので とにかく 腹が減るのが つらかったですな。」

(2人の笑い声)

三井「それじゃ いただきます。」

布美枝「あ どうぞ。」

三井「カタツムリ捕まえたり パパイアの根を 煮たりして 食っとったな。」

茂「胃から来る指令によって 動いておったんでしょう。」

(2人の笑い声)

茂「あの楽園に迷いこんだのも 考えてみたら 胃の導きかもしれません。」

布美枝「楽園?」

笹岡「あの村の事かね?」

茂「ええ。 ほら あれだ あの~ バナナを 運んできてくれた村の子供の話。 あれ 覚えとるか?」

布美枝「ああ トペトロでしたっけ?」

茂「うん。 トペトロの村はな…。 丘の上の道を ず~っと行って 断がいを ひょいと飛び越えた所に あってな…。 うん。 こっちが笑うと 向こうも笑った。 それで 友情成立だ。」

笹岡「いや ところが それが 上官達の間で 大問題になりましてね。」

回想

傷病兵訓練所

大尉「バカもん! 村に行くのは 軍律違反というのが 分からんか! お前みたいな兵隊 見た事がない。 ぶち込んどけ 重営倉だ。」

軍曹「はっ!」

茂「えっ 重営倉…。」

笹岡「まあまあまあまあ 今日のところは 私に免じて 勘弁してやって下さい。 おい…。」

回想終了

茂「軍医殿のとりなしで あの時は 助かりました。」

笹岡「ああ いやいや。 それでも 君は 相変わらず 懲りずに 村の祭りなんかにも 出かけてたねえ。」

(3人の笑い声)

茂「いや~ もう楽しくて しかたなかったんですよ。 自分は あの村に行くと 元気が出ましたから。 楽園の暮らしが 面白かったんですなあ。 みんな 親切で… 自然と ゆったり暮らしとった。 自分は あの暮らしが まともな人間の暮らしだと 今も 思っとるんですよ。」

<南の島に憧れる 茂の思いが 布美枝にも 少し分かる気がしました>

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