連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第124話「戦争と楽園」

すずらん商店街

藍子「これ どうしようかな…。」

絹代「何しとるかね?」

藍子「おばあちゃん…。」

絹代「ん? あ…。 うん。」

水木家

客間

三井「しかし 人の運命は 分からんもんだ。 腕を やられてなかったら あの後の突撃で お前も 命を落としていたかもしれん。」

茂「『突撃の時には真っ先に行け』と 命令も受けとりましたからなあ。」

布美枝「それ どういう事ですか?」

茂「俺達のいたズンゲン支隊はな… 消えてしまったんだ。 全員 玉砕だ。」

布美枝「全員 玉砕…。」

茂「その頃には もう 俺は 後方に移されていたんだが…。」

布美枝「ええ。」

三井「自分達がいたズンゲン支隊に 若い一本気な支隊長が 赴任してきたんです。」

回想

昭和20年 ニューブリテン島・ズンケン

支隊長「ズンゲンは なんとしても 死守せねばならぬ陣地である。 一人十殺! 諸子の健闘に期待する。」

隊員達「はっ!」

回想終了

三井「あれは 今から思えば 終戦まで あと4か月という頃でしたが…。 大事な水源地を奪われ 敵陣に包囲されて 自分達の隊は すっかり追い詰められていました。 老練な指揮官であれば 別の作戦もあったんでしょうが 支隊長は… 若かったですから。」

茂「潔く散るのが 軍人の美学と 思っておったんでしょうなあ。」

三井「うむ…。」

<それは 布美枝が初めて聞く ズンゲン支隊の総員玉砕 いえ 『幻の総員玉砕』の いきさつでした>

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