連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第30話「花と自転車」

水木家

居間

茂「家の月賦を払って 自転車を買ったら 残りは これだけです。 少ないですが…。 あんたに預けます。 これで やりくり お願いします。」

布美枝「…はい。」

茂「この間も話しましたが 貯金は ありません。 貸本漫画が 昔ほど 稼げなく なっているのも 本当です。 でも 描き続けているかぎり 金は 入ります。 心配は いりません。 これで… やっていけますか?」

布美枝「はい… なんとか。 あの… 1つ 聞いても いいでしょうか?」

茂「何でしょう。」

布美枝「さっきの 何とか木綿 あれ 何でしょう?」

茂「(笑い声)」

仕事部屋

茂「こう ひょろ~っと白くて 細長いもんですわ。」

布美枝「…これですか?」

茂「恐らく 古い布に 魂が 宿ったものでしょう。 古くから 話に伝わっておる 妖怪です。」

布美枝「妖怪ですか?!」

茂「ええ。」

布美枝「そげな事 言われたのは 初めてです。 『電信柱』とは 言われとりましたけど…。」

茂「『電信柱』か。 それも ぴったりですな。 ハハッ。」

布美枝「もうっ…。 この絵 もらっても ええですか?」

茂「どうぞ。 …ああ そうだ。 この部屋 時々 掃除して下さい。」

布美枝「え?」

茂「本や 資料の場所は なるべく 動かさんように頼みます。」

布美枝「はいっ…!」

<部屋を仕切っていた襖が 開け放たれて 2人の間を隔てていたものが 1つ 消えたような気がする 布美枝でした>

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