はな「いえ… だって そんな…。 遠慮するに決まってるじゃないですか。 三円もの大金…。」
茂木「これで 甲府までの 往復の切符を買いなさい。 あなた この5年間 一度も おうちに帰ってないでしょう。」
ブラックバーン「Hana.」
はな「はい。」
ブラックバーン『おうちへ帰りなさい!』
はな『ブラックバーン校長 ありがとうございます』
(拍手)
綾小路「ご苦労さま!」
安東家
庭
郵便配達員「ごめんなって! 安東ふじさんに電報ずら!」
ふじ「電報?」
朝市「おばさん! 電報 はなからけ!」
吉平「おお はなから? 見せろし。 はなが帰ってくるぞ~!」
ふじ「てっ!」
朝市「てっ!」
修和女学校
調理室
スコット『生地はムラが出ないようにね』
はな「『はい。』 あっ 茂木先生。 明日 朝早くの汽車で帰ります。」
茂木「乗り遅れないようにね。」
はな「はい。 あっ 今 スコット先生に クッキーの作り方を教わってるんです。」
茂木「おうちの方に お土産?」
はな「うんと おいしいクッキーを焼いて みんなにびっくりさせたいんです。」
茂木「そう。」
スコット『やさしくこねるのよ』
はな『なるほど』
(笑い声)
汽車
武「てっ…。」
車掌『次は 甲府。 甲府です。』
<じっと座っていられないほど はなの胸は 高鳴っていました。 何しろ 5年ぶりに うちに帰れるのです。 ごきげんよう。 さようなら。>