連続テレビ小説「花子とアン」第26回「波乱の大文学会」【第5週】

はな「優雅に歌なんて 詠んでいらっしゃる場合じゃ ないんですけど。」

蓮子「出来たわ。 何でしたっけ?」

はな「はあ? 蓮子さん ロミオの役 引き受けましたよね? 忘れちゃったんですか?」

蓮子「あっ 私の事は お構いなく。 どうぞ 皆さんで進めて下さい。」

はな「そんな! ロミオがいなければ お稽古になりません! 今すぐ 稽古場に来て下さい!」

甲府の川

<一方 甲府の若者たちは それぞれの将来を 模索していました。>

吉太郎「朝市は 本当に 百姓やめて 教師になるだけ。」

朝市「うん。」

吉太郎「おらも やっと やりてえこんが見つかっただ。」

朝市「へえ。」

吉太郎「兵隊になる。」

朝市「兵隊?」

吉太郎「こないだ 甲府の連隊がやって来たら。 道端で見てるうちに 体中がカ~ッて熱くなって 『これだ!』と思っただ。」

吉太郎「朝市には言うけんど おら 東京の女学校に行ってる はなに ずっと 引け目感じてただ。 かよも うちに 金送るために 工場行って 妹らに先越されたみてえで…。 おら 長男なのに このまんまで いいずらかって ずっと考えてただよ。 軍隊に入れば おかあたちに 楽さしてやれるじゃん。」

朝市「おらのおとうも兵隊だっただ。」

吉太郎「てっ…。」

朝市「おら 顔も知らんけど 赤ん坊ん時 日清戦争で死んだだよ。」

吉太郎「ほうか…。 お国のために死んだだけ…。」

修和女学校

稽古場

畠山「第三幕 四場 キャピュレット家のバルコニーと庭園。」

醍醐『おお いとしいロミオ様。 私たちは どうすればよいのでしょう?』。

はな「次 ロミオのセリフです。」

蓮子「どこ?」

はな「ここです。 何か おかしいですか?」

蓮子「『おお いとしいジュリエット。 私は あの月に誓う。 そなたへの永遠の愛を』。 こんな芝居じみたセリフ 恥ずかしくて言えませんわ。」

はな「これ お芝居ですから。」

蓮子「こんな陳腐なセリフに 感情を込めろという方が無理です。」

はな「陳腐…。」

醍醐「それは いくら何でも 翻訳してくれた はなさんに 失礼じゃないですか?

はな「私よりも シェークスピアに失礼です。」

蓮子「(あくび)失礼。 ゆうべ 寝不足だたったもので。」

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