愛「出てきてから 俺は酒に溺れた 何度も死のうと思った。 だが 娘が結婚すると聞いて 立ち直ろうと決心した 仕事も探した しかし 俺みたいなヤツを雇ってくれるところは どこにもなかった。」
天野「はあ はあ…。」
愛「俺は自分に負けて また酒に手を出した。 そんな俺を見て娘は言った。 もう二度と あなたと会うことはないって… だから 俺は生きていても仕方ないんだ。」
サト「ちょっと 当たってるの? 一体どういうこと?」
純「ウチの旦那 人の本性みたいなものが見えるんです。」
愛「あの 違うんです。 今日はこれがあったので…。」
純「死ぬなんて やっぱりダメですよ。」
天野「なんでや!」
純「それは… 女将さん! なんか言ってあげてくださいよ。」
サト「ああ うん。 ドラマチックな人生だねえ。」
純「それだけですか?」
サト「ダメ? 感想正直に言っただけだけど。」
純「もっと こう 励ますとか 慰めるとか そういう言葉をかけてくださいよ。」
サト「でも 私 そういうキャラじゃないから!」
なんじゃそりゃ?
純「お話し聞くと 天野さんって とても頑張り屋じゃないですか ここに閉じこもってたのって もう一度お酒やめて なんとか 娘さんに 会おうとしてたからなんじゃないんですか 本当は? だったら 私 応援しますから。 諦めないで 頑張れば きっと いいことありますよ ね?」
天野「お前みたいな人間が いっちゃん腹立つ。」
純「え?」
天野「頑張ったら ええことあるとか ウソくさい言葉を並べて そんなんは愛されて ヌクヌクと育った人間の戯言や!」
純「私は ただ 天野さんのために…」
天野「人の為と書いて なんて読むか知ってるか?」
純「じんい?」
愛「偽りです。」
天野「お前みたいな ウソくさい人間は 見てるだけで不愉快や! 出ていけ! お前も出ていけ!」
純「ちょっと。」
天野「出ていけ はよ!」
純「待って下さい。」
天野「出ていけ。 もう ここから 一歩も出ず 一生誰とも会わへんのや!」