居間
千代「食べや~。 何もないけど ね。 遠慮せんと。」
<お化けや。 お化けが 豚カツ 食べてる…>
源太「ところで あの おかあさん。」
糸子「へっ?」
源太「おかあさんが 立体裁断されてる ってゆうのは 本当ですか?」
糸子「立体裁断?」
直子「あの お母ちゃんの服の作り方や。 ほら お客さんの体に 直接 布あてて 切るやろ。」
糸子「ああ~ あれ 立体裁断ちゅうんけ?」
吉村「僕ら 今 まさに その立体裁断 習い始めたところなんですよ。」
小沢「あれは 国内では ほとんど やる人 おらんけんど パリでは むしろ 主流なんじゃそうですよ。」
糸子「へえ~。」
源太「こないだ ピエール・カルダンが来日した時に 実演して見せたそうです。 それが 実に 合理的だっていうんで うちの授業にも 新しく 取り入れる事になったんですよ。」
糸子「へえ~。」
吉村「それを 我流で始められたって 本当すごいなあ!」
源太「なあ!」
小沢「天才的じゃなあ!」
糸子「いえいえ そんな 褒めてもらうほどの事 ちゃうわ。 せっかちなだけ。」
小沢「そんな事ないですよ。」
糸子「ほんま 我流やよって 授業のとは 違うかもしれへんで?」
吉村「はい。」
小沢「はい。」
糸子「で ここを 留める。 ここは まっすぐ切ったら あかん。 ちょっと斜めや。 あとで 後ろの布 来るからな。」
小沢「これか…。」