連続テレビ小説「カーネーション」第121回「鮮やかな態度」【第21週】

小原家

玄関前

<パリの一流コレクションに 登場したんは ファッションの下克上ちゅうて 言われるほどの 一大事件やったんやけど ほんな事 知らんでも とにかく 女の子らは 長年 出されへんかった脚が出せて うれしそうでした>

木之元「おう 北村ちゃん。」

北村「お おう~ 毎度やで。」

木之元「目ぇが黒い。」

北村「サングラスや。」

珈琲店・太鼓

糸子「おおきに。 どないや? 儲かったけ?」

北村「儲かったわいや おかげさんで。 ボロ儲けや。」

糸子「何や うれしないんけ?」

北村「いや うれしいけどよ 歩きにくうて しゃあないど。 どこ見たらええか 分からへんしよ。」

糸子「ヒヒヒ ヒヒヒヒ! 困っとる 困っとる おっさんが。」

北村「何か 次 長いスカートとか 流行らへんけ?」

糸子「いや~ 当分は 短いやろな。」

北村「ほんまけ?」

糸子「日本の長い歴史の中で 一回も出せんかったもんが 出せるようになったんや。 そないすぐには 収まらんやろ。」

北村「はあ~。」

糸子「慣れるしかないて。」

北村「うっとしいのう~。」

糸子「はあ? ほんな ええ格好せんと 見ちゃったら ええやないか。 向こうは 見せたて 見せてんやで。」

北村「いや ほやけどよ わいらの時代はよ もっと こう 恥じらいちゅうかよう…。」

糸子「恥じらい? あんた ほんなもん もう 犬も食わへんで。」

北村「いや ほやけど…。」

糸子「おっさん! 気の毒やけどな ほんな 自分の時代が どうやらな ほなもん もう こだわっちゃったら あかんねん。 時代は どんどん変わってんやで。 女の子は 脚 出して ええ。 おやじに怒られたかて かめへん。 嫁になんか行けんかて かめへん。 そうゆう時代やねん。 さっさと 頭 切り替えな 取り残されてまうで。」

北村「ああ…。」

「じゃ おおきに。」

節子「おおきにな。」

北村「あ~! あ~あ あ~!」

<昭和41年 若い女の子らの脚が 北村の 時代を 踏み潰していきました>

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