寝室
千代「糸子。」
<だんじりが終わってしもたら また 普通の日が始まります>
千代「糸子!」
糸子「へっ?」
千代「もう みんな 起きとるで。」
<お父ちゃんは いつもの呉服屋に戻ります>
<おばあちゃんも ごちそうを こさえません>
居間
糸子「おばあちゃん! うちの目刺しだけ 小さい! なあ おばあちゃん。 うちの目刺し もっと大きいやつにしてよ~!」
善作「じゃかましい! ちいちゃいの 大きいの 文句 言わんと 食え! また 誰やねん ええ?! こんなとこ ちょろ~っと開けてんのは。 きちんと閉めんかい!」
糸子「へえ!」
善作「こら 糸子! お前 足で 何ちゅう事 さらすねん! ほんまに 行儀の悪い子じゃ。 ええ? その足か? その足か? お前。 えい こら!」
糸子「堪忍!」
善作「しばいたるわ!」
千代「どないしたん?」
善作「待て こら! 待て こら!」
糸子「堪忍!」
善作「バシッやぞ!」
糸子「堪忍!」
町中
<吉田奈津は ここらで一番の料理屋の娘で 学校に 毎日ちゃう着物を着てきます>
糸子「待て~!」
「堪忍!」
<うちは 呉服屋の娘やけど 着物は 毎日おんなしです>
糸子「かえる いじめたやろ? このかえる いじめたら うちが 承知せえへんど! 待て~! 待て~! あっ…。」
糸子「泰蔵にいちゃん おはようさん!」
泰蔵「おう。」
糸子「なっちゃるでえ うちも 大工方に。」
<うちの頭ん中は 今 着物より 勉強より だんじりの事で いっぱいです>