連続テレビ小説「カーネーション」第1回「あこがれ」【第1週】

居間

糸子「はよ食べ! はよ食べな だんじり 来てまうで!」

安岡玉枝「おはようさん ごめんよお。」

糸子「あ 安岡のおばちゃん。」

玉枝「おはようさん。」

糸子「おはようさん。」

玉枝「ほれ 『おはよう』言わんけ。」

ハル「はれ~ おはようさん。」

玉枝「おばちゃん こない早うに すまんよお。 何や もう 家に おっても 気ぃがせいてよお 何も 手ぇつかへんよって 来てしもたんやし。」

ハル「どや? 泰蔵ちゃん あんじょう 出ていったけ?」

玉枝「はあ…。 『お母ちゃんは 何も心配すな』って 言うちゃったんやけどよお…。」

<泰蔵にいちゃんは  おばちゃんとこの長男さんで 今年初めて 大屋根で 大工方をやります>

善作「泰蔵! 屋根 任せたで。」

安岡泰蔵「はい!」

<大工方ちゅうんは だんじりの 屋根の上で 合図を出す 一番恰好ようて 一番危ない役です>

小原家

ベランダ

糸子「おばちゃん こっち こっち! おばちゃん ここ 座り! だんじりが 一番よう見えるさかい。」

玉枝「はあ…。」

糸子「どないしたん?」

玉枝「糸ちゃん…。 おばちゃん もう 昨日から 全然 寝てへんねん。」

糸子「何で?」

玉枝「泰蔵の事が 心配で心配でなあ。 そら もう 初めての大屋根やろ。 だんじりから 落ちんちゃうかあ 下手こいて 恥かくんちゃうかあて… はあ…。」

町中

♬~(お囃子)

「行こか~! 行け~!」

「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

小原家

玄関前

安岡勘助「ソーリャ! ソーリャ!」

糸子「あ~ はよ 来えへんかな~ だんじり。」

勘助「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

<泰蔵にいちゃんの弟の勘助は うちと同じ尋常小学校の5年生で>

勘助「わいに兄ちゃん 大工方やんねんぞ。」

糸子「知ってるわ。」

<弱いくせに すぐ威張りたがります>

勘助「恰好ええやろ。 羨ましいやろ。 わいは 大工方の弟やさかいよお お前も これからは もうちょい わいの言う事 聞かな あきまへんで。 イテ!」

糸子「アホか! 調子 乗んな!」

勘助「何すんねん?」

糸子「恰好ええんは お前の兄ちゃんだけじゃ。 お前は ただのスカタンやんけ!」

勘助「け…。」

♬~(お囃子)

糸子「あっ!」

「通るぞ 下がれ!」

台所

糸子「来た! 来た! お母ちゃん だんじり 来たで!」

ハル「ちょちょちょちょ…。」

千代「あああ~。」

ベランダ

玉枝「来た… う~ どないしよう。」

♬~(お囃子)

ハル「どれ? どこ?」

♬~(お囃子)

糸子「来た!」

「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

♬~(お囃子)

「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

♬~(お囃子)

(拍手と歓声)

糸子「うわ~!」

「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

「ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ! ソーリャ!」

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