連続テレビ小説「カーネーション」第54回「いつも想う」【第9週】

木岡「いや わしの弟や。 アハハッ。 ちっこい縫製工場 やっちゃったんが 軍服で ごっつい儲けてんねん。」

糸子「あ~! いっつも その やっさんに たかってんけ?」

善作「こら!『たかる』ちゅうな お前。 人聞きの悪い事 言うな! こらな 男同士の仁義の話じゃ。」

木之元「おう!」

糸子「せやけど 勘助も 知らん人に 宴会 開いてもうても 何やろ。 出征ん時みたいに うちで やろうや!」

小原家

居間

千代「はい どうぞ!」

木之元「これは うまそうだ!」

ハル「はい はい!」

木岡「おう すんませんなあ。」

糸子「あっ 八重子さん。 はよ来な もう おっちゃんら 飲み始めてもうてんで。 勘助 まだ帰ってきてへんの? えっ? うん? まだ 帰ってきてへんちゅう事? それとも 帰ってきてるちゅう事?」

台所

八重子「こんばんは~!」

糸子「やっと来た~!」

ハル「ちょっと待って。 ちょっと待って。」

糸子「勘助は?」

八重子「あ~ それがな 勘助ちゃん ちょっと おなかの調子が悪いらして 今日は… 遠慮さしてもらうって。」

一同「え~?!」

八重子「すんません。」

ハル「どないしたん?」

八重子「大した事ないんやし。 何か 分からんけど 帰り道に おなかでも壊したんとちゃうかの。」

ハル「はあ! 久しぶりの日本が うれしいて 目につくもん 片っ端から食べて 帰ってきたん ちゃうか?」

八重子「多分 それやと思いますわ。 すみません 皆さん。」

糸子「もう! 何やってんや あいつ! せっかく 店まで はよ閉めて 待っちゃったのに!」

八重子「堪忍なあ ほんまに。」

糸子「『治ったら いの一番に わび入れに来い』ちゅうて 言うといて!」

八重子「言うとく! ちゃんと言うとくで。」

居間

善作「何を食うて そんな 腹なんか壊しとんねん。」

泰蔵「ほんま すんません。」

八重子「ありがとうございます。」

泰蔵「皆さんも ほんま すんませんでした!」

木之元「ほんま アホや あいつは。」

<結局 その日ぃは 泰蔵兄ちゃんと八重子さんが 顔を出しただけで 勘助と おばちゃんは 来ませんでした>

ハル「人の事 なあ!」

<それから 何日たっても 勘助は 店を のぞきに来るどころか 祭りにさえ 顔を出しませんでした>

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