連続テレビ小説「カーネーション」第55回「秘密」【第10週】

糸子「ああ~ん!」

昌子「はい 先生 出来ました。」

糸子「えっ? おおきに。」

昌子「せやから『はよ はいといた方が ええですよ』って 言うたのに。」

糸子「『そんな事では 銃後の守りは 務まりませんよ!』。 くそ! あの おばはん 鬼の首でも取ったような顔で ぬかしよって…!」

静子「姉ちゃん! オハラ洋装店の店主が なんちゅう言葉遣いや!」

昌子「先生かて はいたら 絶対 気に入んで。」

糸子「あんなあ 昌ちゃん。 うちは 洋装店やろ。 洋装店には 洋装店の意地 ちゅうもんが あるやろ?! 戦争やからて 何で こんな 不細工なもん はかなあかんねん! そもそもな モンペっちゅう名前が 気に食わん。」

<ちゅうて さんざん 文句 言うてた うちでしたが… いっぺんに モンペが 気に入りました>

2階 座敷

糸子「こら 楽や。」

オハラ洋装店

「中に なんぼでも 重ねてはけるしな。」

糸子「中にな。」

「せやで~。 ちょっと見ちゃって これ。」

糸子「いや!」

「うちの秘めたる おしゃれ魂や。」

糸子「勉強なるわ~。」

「ハハハハハ!」

糸子「ほんまやな『戦争やから』言うて いじけてたら あかんな。 戦争中は 戦争中の おしゃれ魂 見せちゃらんとな。」

「うん そやで 小原さん。 あんたが 頑張らな。」

糸子「ほんまやな。 うん!」

安岡家

居間

玉枝「堪忍なあ いっつも もらうばっかしで…。」

糸子「ううん。 うっとこかて お客さんから もうたもんやし。 このごろは みんな お金 ないさかい 物で 払てくれるようになってな。」

玉枝「おばあちゃんにも よろしい 言うといてな。」

糸子「うん。 あれ? パーマ機 どないしたん?」

八重子「ああ ちょっと 目隠しや。」

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