連続テレビ小説「カーネーション」第57回「秘密」【第10週】

2階 座敷

(虫の鳴き声)

<戦争中でも 月は出る。 虫かて 鳴く。 優子 直子… おなかの子。 それから… 勝さん うちは まだまだ こんなに 宝を持ってるんやな。 立ち止まって ふと気づいてしもたら その事が ありがたいやら 怖いやら。 無くしたない。 おらんように ならんといてほしい>

居間

糸子「静子! 紅 貸して。」

静子「えっ また?」

糸子「ええやんか ちょっとだけや。」

静子「もう~。 うちかて 大事に大事に 使てんやで。 もう 今頃 紅なんか もう 売ってへんやさかい。」

糸子「ケチ 言いな! 戦争さえ終わったらな 何ぼでも 姉ちゃん 買うちゃるよって。 な!」

静子「もう~。」

糸子「ウフフ おおきに。 よっこいしょ。」

<ほんのちょっとでも さすんと ささへんのとでは 大違いや>

糸子「あっ 昌ちゃん! あんたも さしちゃろ!」

昌子「はあ? ええですわ うちは。」

糸子「あかん! 化粧ちゅうもんはな 自分のため ちゃうんや。 自分の顔を 見てくれる相手のために せんならんもんなんや。 な!」

昌子「大日本婦人会に 怒られますよ!」

糸子「おばはんには 言わせといたら ええねん!」

勝「ほな 配給所 行ってくんで。」

糸子「は~い!」

玄関前

糸子「行っちょいで~! 気ぃ付けてなあ~!」

勝「おう!」

<大事なもんを ほんまに大事にしよう。 そんなふうに うちが ちょっと賢なって… おなかの子が 9か月になった頃>

玄関

「ごめんください。 こちらは 小原 勝さんのお宅ですか?」

勝「はい!」

「おめでとうございます。 召集令状を お持ちしました。」

<ああ… 来てしもた>

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