料理屋
(談笑)
<そもそも 泉州繊維商業組合 ちゅう名前から むさ苦しい おっさんらの集まりを 想像してたんやけど…>
「ああ えらい すんまへんなあ。」
(談笑)
(笑い声)
<想像以上でした>
糸子「どうも すんません。 遅なりました。」
三浦「あっ 来よった 来よった!」
一同「おっ? えっ?」
三浦「ハハハッ お宅け? 岸和田で 洋裁店の看板 ぶち上げた女傑ちゅうんは?」
糸子「はあ… あの…。 初めまして! 岸和田で洋裁店を やっています 小原糸子です! よろしゅうお願いします。」
(拍手)
三浦「わしな 三浦ちゅうて 貝塚で 紡績屋やっとる ここの組合長や。 ほんで これが 佐野でな 毛糸屋やっとんねん。 おい 名前 何や?」
「八島や。」
三浦「八島や!」
「よろしゅう!」
糸子「よろしゅうお願いします。」
三浦「ほんで これ 北村ちゅうて わしには よう分からんのやけど 皆が言うには やり手らしいで。」
「やり手!」
(笑い声)
糸子「よろしゅうお願いします!」
三浦「おいおい お前らも ちょっと 自己紹介せんかいな。」
「おい! 長瀬や よろしゅう!」
糸子「よろしゅう!」
「わしゃ 木村や。 よろしゅうね。」
糸子「よろしゅう。」
「俺は 林や。」
糸子「よろしゅうお願いします。」
三浦「ほんでな ここに おるのが これが周防ちゅうて 長崎から出てきた職人や。 今 わしの かばん持ちしてるんや。」
糸子「よろしゅうお願いします。」
周防「はあ どうも。」
三浦「今日は 顔合わせの場やさかいな 堅苦しい事は 抜きや。 さあ ゆっくり遊んでいってよ。 お~い ちょっと すまんな。 わし ちょっと 次 行かんならん さかいに ここで失礼するわ。 ああ お前は ええ。 お前は ここに おれ。 ずっと おれ。 ほな まあ 楽しみに!」
一同「おおきに!」
「まあまあ はよ いこ!」
「ぐっと いこ! ぐっと!」
「まあ ええがな ええがな。 今日は無礼講や。」
(談笑)
糸子「あの… 長崎っちゅうたら 九州の長崎ですか?」
周防「はい。」
糸子「何で また ほんなとこから?」
周防「おいは 長崎で紳士服の職人ば しよったとですばってん。 ピカドンで 何でん かんでん 燃えしもうたけん 親戚ば頼って 家族で 岸和田に来たとですよ。」
糸子「はあ?」