おでん屋・風車
1階店舗
なつ「ただいま。」
亜矢美「お帰り。」
レミ子「なっちゃん。」
なつ「レミさん。 雪次郎君は 一緒じゃないんですか?」
レミ子「雪次郎君は 今頃 どうなってるんだろう…。」
なつ「えっ? え… どうかしたんですか?」
レミ子「雪次郎君が…。」
なつ「雪次郎君が?」
なつ「蘭子さんの家で会うからといって そういう関係だとは…。」
レミ子「そうなったら なったで しかたがないんだけどね 私は 雪次郎のことが心配なのよ なっちゃん。」
なつ「どうして?」
レミ子「蘭子さんは 根っからの女優だもん。 恋愛も仲間も 自分の演技の肥やしにしかできない人よ。」
亜矢美「そういう人に 今の雪次郎君が溺れてしまったら 役者としては 潰されちゃうかもしれないってこと。」
なつ「えっ…。」
亀山家
蘭子「何? それ。」
雪次郎「あっ ケーキです。」
蘭子「ありがとう。 後で頂きましょう。」
雪次郎「はい。」
蘭子「乾杯。」
雪次郎「お疲れさまでした。」
蘭子「お疲れさま。 はあ… どうぞ 座って。」
雪次郎「蘭子さん…。 俺は 蘭子さんが好きです。」
蘭子「あっ… からかってるの?」
雪次郎「違います。」
蘭子「じゃ 気の迷い?」
雪次郎「違います! 俺は 迷ってなんかいません。 蘭子さんを ずっと好きでした。」
蘭子「私には 芝居しかないのよ。 芝居しかない女よ。」
雪次郎「だから好きなんです。 俺も このまま ずっと 蘭子さんと芝居をしていきたいんです。」
蘭子「こんな所に呼んじゃったから 何か勘違いさせちゃったのかしら?」
雪次郎「これは… 俺の勘違いですか?」
蘭子「そういう覚悟をして ここに来たわけ?」
雪次郎「はい… 来ました。」
蘭子「そう。」