連続テレビ小説「なつぞら」第79話「なつよ、十勝さ戻って来い」【第14週】

砂良「あっ お義母さん 薪割りなら私が。」

富士子「いいから あんたは。 あんた 間違えて 大事なおなかを割ったら大変しょ。」

砂良「間違えないってば…。 自分のおなかでもないみたいだけど。 ねっ はい…。」

照男「何してんだ? そったらこと俺が…。」

(物音)

照男「何だ? 誰かいんのか? そこに。」

砂良「えっ 誰?」

富士子「どしたの?」

照男「何か いるべ?」

富士子「えっ…。」

照男「誰だ?」

千遥「あっ あの… すみません。」

照男「はい…。 どしたの?」

砂良「誰?」

照男「知らんけど…。」

千遥「お姉ちゃん?」

砂良「えっ 何て?」

千遥「あっ いえ… 何でもありません。 道に迷っただけなんです。」

照男「道に迷った?」

千遥「お邪魔しました。 ごめんなさい。」

富士子「待って! あなた もしかして… 千遥ちゃん? やっぱり? そなの? 千遥ちゃんなのね?」

照男「それって…。」

砂良「まさか… なっちゃんの?」

千遥「なっちゃん?」

砂良「そう? あなた なっちゃんの妹?」

富士子「奥原なつっていう人 捜しに来たんでないんかい?」

砂良「だから さっき 私のこと お姉ちゃんと…。 ごめんね。 私は なっちゃんじゃないんだわ。」

富士子「私らは なつが北海道に来て 9つからの家族だけど ここは 今でも 奥原なつの家で間違いないの。 ここを探して来てくれたんでしょ? ずっと あなたを待ってたんだわ…。 本当なのね? 本当に あなたが千遥ちゃん?」

富士子「よく来た… よく来てくれた…。」

詰め所

照男「じいちゃん!」

泰樹「ん?」

照男「来た…。」

泰樹「何が来たんだ?」

照男「なつが ずっと捜してた妹だ… 実の妹だ。」

泰樹「何だって?」

居間

富士子「おいしい?」

千遥「はい… おいしいです。」

明美「あ~ いかった 牛乳が飲めて! 同じ妹として ほっとしたわ。」

富士子「なつも その牛乳が大好きだったの。 なつは その牛乳を 子どもの頃から 自分で搾ってきたんだわ。」

明美「じいちゃんに 牛飼い教わってね。」

砂良「農業高校まで出たんだよ。」

千遥「それで 今は 東京にいるんですか?」

富士子「そなの… 東京で 今 漫画映画作ってんだわ。」

千遥「漫画映画?」

富士子「うん。 千遥ちゃんは どこから来たの?」

千遥「東京です。」

砂良「それじゃ 今は 2人とも 東京にいるってこと?」

富士子「東京の どこ?」

(戸の開閉音)

富士子「父さん。 なつのじいちゃん。 千遥ちゃんよ。」

千遥「お邪魔しています。」

泰樹「そうか… よう来たな。 いや 本当 よう来た。 おい なつに知らせたか?」

富士子「まだ…。」

泰樹「何してんだ すぐ知らせてやらんか。」

富士子「そだね… 電話があるもね。 あっ この時間は なつは まだ…。」

千遥「待って下さい。」

富士子「えっ?」

千遥「姉には どうか… 知らせないで下さい。」

富士子「なして?」

千遥「すみません… それはいいんです。」

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