沖縄料理店・ちむどんどん
(電話の呼び鈴)
沖縄料理店・あまゆ
和彦「まだ 出ない?」
暢子「うん…。 あっ もしもし 歌子?」
歌子「うん どうしたわけ?」
暢子「カウンターの上に 封筒があるでしょ? お金が入ってる封筒。」
沖縄料理店・ちむどんどん
歌子「えっ ないよ?」
暢子「何で?」
歌子「うちも 今 買い物から帰ったばかりで。」
暢子「矢作さんは?」
歌子「矢作さん… は いないみたい。」
沖縄料理店・あまゆ
和彦「ない?」
暢子「歌子が 買い物から帰ってきたら 封筒がなくなっていて 矢作さんも いないみたい。」
智「矢作が盗んだ。」
暢子「まさかやー。」
智「あれには前科があるだろ。 暢子 行こう!」
暢子「あっ…。」
智「早く! すいません!」
坂田「えっ…。」
(戸が開く音)
暢子「すいません すぐに戻ってきます。」
坂田「あの… いや…。」
(戸が閉まる音)
沖縄料理店・ちむどんどん
店内
智「どこに置いたんだ?」
暢子「あっ… ない。」
智「ない…。」
暢子「どうしよう…。」
和彦「何でないんだ。」
智「あの男さ それしか考えられない。」
暢子「まさかやー。 矢作さんは そんな人じゃ。」
智「じゃあ 何でない?」
暢子「それは…。」
智「暢子は お人よしすぎる。 泥棒が そう簡単に改心するわけ…。」
暢子「そんな言い方 やめて!」
智「暢子 このお店が潰れる瀬戸際なんだよ。 どうするわけ 分かってるのか!」
暢子「分かってる! でも それとこれとは別さ! うちは 矢作さんを信じてる。 お金とか お店とかよりも そっちの方が一番!」
歌子「どうしたわけ?」
(戸が開く音)
暢子「矢作さん。」
智「金 返せ!」
矢作「ああ 現金入りの封筒 置きっ放しにしてただろ? 不用心だと思ったから レジの中 入れといたぞ。」
矢作「…ったく 金を雑に扱う人間は 経営者失格。」
暢子「ありがとうございます。」
智「さっき その…。」
矢作「全部 聞こえてたけどな。」
智「すいません 正直 俺は…。 だって…。」
矢作「疑って当たり前。 別に 謝ることはねえよ。」