連続テレビ小説「ちむどんどん」27話「はじまりのゴーヤーチャンプルー」

平良家

多江「暢子さん。」

暢子「あっ…。」

多江「これ お水。 お手洗いは 分かる?」

暢子「はい。 ありがとうございます。」

多江「じゃあ お休みなさい。」

暢子「あっ あの…。」

多江「ん?」

暢子「何で こんなに 親切にしてくるんですか?」

多江「うちの人 困ってるウチナーンチュを 放っておけないの。」

暢子「県人会の会長さんだから?」

多江「苦労してきたからね。 沖縄二世として。 お休みなさい。」

暢子「お休みなさい。」

暢子「はあ~。 上等さ…。」

夜中

暢子「お父ちゃん うち 一人で沖縄を出てきたよ。 お母ちゃん ネーネー 歌子…。 会いたい。」

暢子の激動の一日が 終わろうとしています。 この日は 暢子が 18年間生きてきて 初めて たった一人で眠る日でもありました。

暢子「ニーニーでも いいから…。」

東京・銀座

三郎「俺が知ってる限り 東京で 一番の西洋料理店だ。 修業ってのは 何事も 最初が肝心だからな。」

暢子「本当に ありがとうございます。 就職先まで 紹介してもらって。」

暢子「ん? アリ! ここ! まさかやー! ありえん! あのお店で働けるんですか?」

三郎「雇ってもらえるかどうかは まだ分からねえ。 これが 紹介状。 オーナーに渡せ。」

暢子「はい!」

三郎「うちの住所と電話番号は控えてあるな。」

暢子「はい!」

三郎「当たって砕けろで行ってこ~い!」

暢子「はい。 えっ!? 一緒に来てくれないんですか?」

三郎「俺の出番は ここまで。 うちで待ってるよ。」

暢子「行ってきます。」

三郎「うん。」

レストラン・フォンターナ

(ドアベル)

矢作「すいません 営業はまだ…。 あっ!」

二ツ橋「昨日の…。」

暢子「今日は お客じゃありません。 ここで 働かせてください。 これ 紹介状です。 オーナーさんに渡してください。」

矢作「まさかやー。」

暢子「アイッ やっぱり 東京でも言いますよね。 まさかやー。 よろしくお願いします。」

(ノック)

房子「はい。」

(ドアが開く音)

二ツ橋「失礼します。 昨日の まさかやー様が これを…。 紹介状だそうです。」

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