道中
暢子「うわっ…。 ごめんなさい。 すみません…。」
レストラン・フォンターナ
玉島「遅いっすね まさかやー。」
矢作「まさかやーは もう来ねえんじゃねえか?」
桃木「賭けます?」
矢作「おっ いいね。 お前もやれよ。」
玉島「やります。」
(ドアの開閉音)
暢子「すいません! すいません! おはようございます。 すいません。」
二ツ橋「すぐ着替えて 仕込みをお願いします。」
暢子「はい! すいません!」
玉島「もって あと2日ですかね。」
矢作「もともと 女に勤まる仕事じゃねえんだよ。」
桃木「確かに。」
玉島「ですよね~。」
10日目
厨房
「おい コンロとオーブンの中も 磨いとけよ。」
暢子「はい ご苦労さまです。」
二ツ橋「10連勤 ご苦労さま。 あとは やっておくから 明日は ゆっくり休んで。」
房子「掃除は 新人の仕事。 トイレの掃除は?」
暢子「分かりました。 すぐやります。」
二ツ橋「比嘉さんには 指示のとおり 何もアドバイスせず 様子を見ていますが なぜです?」
房子「なぜって?」
二ツ橋「いえ… まるで 辞めさせたいような。」
房子「ちょっと 因縁があるのよ。」
二ツ橋「因縁?」
あまゆ2階・ゴーヤー
暢子「早苗は どんな? 大学は楽しい?」
早苗「大学は まあまあだけど 下宿が 親戚の家だから 門限あるし 他人以上に気を遣うというか。」
暢子「アイ 大学で 何て呼ばれてる?」
早苗「『前田さん』名字で呼ばれるの 全然 慣れないわけよ。」
暢子「だからよ。 うちも 生まれて初めて『比嘉』とか『比嘉さん』とか呼ばれて ちょっと びっくりしたさ。」
早苗「今までは 大人も子供も 下の名前で呼び合ってたからね。」
暢子「うん。 あ~…。 ん~ やんばるが恋しい。 お母ちゃんや ネーネー 歌子も 元気してるかね。」