古波蔵家
居間
文也「あっ 出た出た! おおっ! 行け! いい感じ いい感じ」
台所
恵理「やっぱり 小浜には 全然 ゲームとか売ってないし 石垣に行ったけど 那覇しかないのもあるらしいわけよ]
祥子「なるほどね そうだろうね」
恵理「やっぱり テレビとかで見るからね 欲しくなるよね」
奈々子「そりゃ そうだよ」
恵理「…だよね」
勝子「分かるな… 恵理もあったさ」
恵理「えっ 私も? ゲーム?」
勝子「ゲームじゃないけどさ 何だったかね あれは… 何か テレビのアニメかなんかで 魔法使い何とかっていう… それの洋服を 恵理が欲しがってね」
恵理「へえ~」
勝子「もう 毎日 毎日 言うわけさ でも 売ってないさあね それに お金もないし 私が 見よう見まねで作ったわけ」
ハナ「そうだったね」
祥子「へえ… すごい」
奈々子「うん」
勝子「でもね 今にして思えば かわいそうだったけど どこか 間違ってたんだろうね 色とかさ でね 恵理は 学校で それを からかわれたらしくてさ そしたら 怒ってね 恵理は インチキだとか言った友達に『お母さんが 作ってくれたんだのに!」って」
勝子「すごい怒ってよ 友達に 泣きながら それで 大ゲンカして その夜は 私も泣いたさ もう うれしうて うれしくて 胸が こう キュ~ッとなってしまってね」
恵理「え~ 覚えてないさ 全然」
ハナ「子供は 忘れていいさ でも 親は いつまでも覚えてるもんだよ」
勝子「そうですね…」
恵理「そっか…」
居間
文也「お~っ! あ~っ 駄目だ…」
恵文「ああ… ふ~…」
文也「あっ 惜しい 惜しい おつ うまい うまい 和也 うまいじゃん」
ハナ「恵文!」
恵文「はい!」
勝子「どうしました? おばぁ えっ? ない… 文ちゃん?!」
恵文「あっ… いや あの その… えっ ない? な… 何でかね~…」
勝子「恵文さん!」
恵文「はい ごめんなさい!」
ハナ「(ため息)」
勝子「座りなさい」
恵文「はい 座ります」
小浜島
祥子「あの… お母さん」
勝子「いいの!」
恵理「お母さん でもさ…」
勝子「いいから! 久しぶりだね 小浜 楽しもうね! あっ 久しぶりだね」
男たち「お~ 久しいぶり 元気?」
恵理「いいのかね 本当に…」
古波蔵家
恵文「おばぁ…」
一風館
奈々子「…というわけなのよ」
みづえ「まあ」
真理亜「よく分かんないんだけど 何で そうなるの?」
島田「お金を持ち出したのを認めた ところまでは 分かったんだけどね」
柴田「ですよね その後が 急展開すぎて ついていけません」
真理亜「そう そう そこよ そこ ちょっとね 構成的に 無理がある 強引すぎるっていうか」
みづえ「そうよね」
柴田「はい」
島田「確かに」
奈々子「ちょっと待って もう一度 整理するからさ 古波蔵家は 読めないのよね 展開が
回想
勝子「どういうこと? 文ちゃん」
恵文「どういうことと申しましてもですね… あ… あれさ… そんな~ もう 正月早々 怖い顔するのは やめようね」
勝子「それは 恵文さんの立場の人が 言うことじゃないでしょうが!」
恵文「あっ… であるね う~ん… え… 恵理」
恵理「はっ?」
恵文「恵理が言いなさい 正月なんだから やめようって」
恵理「はあ? 何言ってるわけ? 言わないよ そんなこと」
恵文「何で?! 大事な日だよ 正月というのは!『一年の計は 元旦にあり』と言ってさ」
文也「お父さん! …ちょっと違う気がします」
恵文「何でよ?!」
勝子「(せきばらい)」
恵文「あっ… はい すみません」
勝子「何に使ったの? お金 少ない額じゃないよ」
恵文「えっ? まあ… 勝子 ほら 子供もいるし… ね?」
勝子「子供に言えないようなことに 使ったわけ」
恵文「そうじゃないけど… 何 言ってるの?!」
勝子「じゃあ 何?!」
恵文「いや… だからよ…」
奈々子「和也 あっち行こうか」
祥子「あっちで 一緒に ゲームしよう」
回想終了