居間
ハナ「はい」
和也「ありがとう!」
恵文「はい おめでとうね」
和也「ありがとう」
恵文「おめでとうね」
祥子「ありがとうございます」
奈々子「はい 姉え姉えから」
和也「ありがとう」
恵理「はい 私たちから」
祥子「ありがとうございます あっ 和也 はい おめでとう」
和也「ありがとう」
文也「よかったな~」
奈々子「いいな 私 出ていくだけだよ」
祥子「こんなにもらったよ よかったね~」
恵文「じゃ これで 全部かな?」
島袋「明けまして おめでとうございます 島袋です! イイソーグワチデービル ごちそう いただきに来ました!」
一同「おお!」
島袋「えっ? どうしました?」
ハナ「今年は 間がいいね」
恵文「すばらしいね 島袋君 いい時に来たさ」
島袋「えっ? あっ! ちゃんと用意してあるさ 用意してるよ ほら! はい おめでとうね もちろん 沖縄のお年玉は 二千円札さ」
恵文「ほう~ ああ 本当だ!」
和也「ありがとうございます!」
恵理「和也 買い物行きたいんでしょう? いいよ 行っといで」
和也「えっ いいの?」
恵理「うん」
文也「いってらっしゃい」
和也「いってきます!」
恵理「気をつけてね」
和也「分かってるよ いちいち言わんでも!」
恵理「かわいくないね… うん?」
島袋「…うん?」
恵文「島袋君 いただきますと言わんと どうするわけ?!」
島袋「ああ…」
恵文「いただきます」
一同「いただきま~す!」
一風館
一同「明けましておめでとうございます」
静子「おいしそうだな~!」
真理亜「う~ん…!」
静子「すごいな みづえさん」
柴田「いや~ 本当に すばらしい あっ 皆さん 私の作ったあれ 見ていただけました?」
島田「(せきばらい)」
みづえ「さあ 始めましょう」
静子「は~い!」
みづえ「容子さん 大丈夫よ 栞ちゃんのアレルギーが出るようなものは 何にも使ってないから」
容子「みづえさん ありがとう」
柴田「ありがとうございます」
みづえ「いいえ 任しといて」
お年玉
栞「ありがとう」
容子「ありがとう」
静子「でも あれだね 容子さん 柴田君 栞ちゃん これから楽しみだね」
柴田「もう 楽しみで 楽しみ…」
容子「似てないから」
柴田「いや それではありません」
柴田「運動会… 小学校に入って初めての運動会 私は 寝袋持参で 徹夜で 陣取りをする 一番いい場所で 栞を見たい カメラに収めたい ビデオに残したい その一心で 私は もちろん一番乗りだ だが 前の晩は嵐 激しく降る雨 吹き荒れる風 神様 お願いだ! 明日は… 明日だけは 晴れてくれ!」
柴田「私は ずぶぬれになりながら 天に願う! あっ! そのかいあってか 翌日は 日本晴れ! すばらしい運動会日和とは このことだ! そして そして いよいよ 1年生の徒競走が始まる! 栞の番だ! ビデオカメラを持つ手が 震える 緊張で… 痛い!『位置について ヨーイ ドン!』一斉にスタートだ! 栞はどうした?」
柴田「おお なんと栞は先頭だ! いや~ なんと すばらしい すごい! そのまま… そのままコーナーを回って ゴールに向かって1着だ~! だが… だが だが だが! その時 栞は つまずいて 転倒してしまった オー マイ ゴッド! オー マイ ゴッド!」
柴田「なんてこった~ 立て! 立つんだ 栞! 最後まで… 最後まで走るんだ 順番なんか どうだっていい もう そんなものは 関係ない お父さんにとって 栞は… 栞は いつでも1等賞だ… その時 歯を食いしばって 何とか 懸命に立ち上がって 必死で走りだそうとする栞 すりむいた ひざ小僧が より一層 涙を誘う 周りを見たら 誰もいない そう みんなは もうゴールしてしまっているのだ それでいい 最後まで 最後まで走ろう 父も一緒だ! 私は ビデオカメラを捨てて ともに走る ゴール前で 栞を迎えるために!」
柴田「さあおいで! お父さんの胸 目がけて 走っておいで さあ 栞! あと少し あと少しだ! ああっ! ほおに涙の跡が… ああ なんて かわいい なんて けなげなんだ 時よ 止まれ! 君は 美しい… そして 私の胸に飛び込む栞 グラウンドは 感動の拍手だ」
真理亜「ふふん そんな かわいかった娘も成長し 女子高生に 近頃じゃ 父親と 口もきかない それどころか…『ねえ お母さん 洗濯物さ あのオヤジと一緒にしないでくんない くさいし マジ ありえない …ていうか できれば 洗濯機 別にしてほしいくらいなんだけど』それでも父は『そんなこと言うなよ』と 媚を売ってみるが『はっ? マジ うざいんだけど』そんなある日 仕事で行った渋谷の街で なんと 父は 娘と 偶然 出会う!」
真理亜「友達と一緒の娘 笑顔になる父『よし ここは 理解ある父を演じ お小遣いの ひとつでもあげれば 少しは 好かれる』と 笑顔で 手を振ってみる『ゲッ!』だが 娘は『誰 あれ? 知り合い?』と友達に聞かれ…『知らない あんな きもいオヤジ 行こう』と とっとと 去ってしまうのであった」
柴田「やめてください!」
真理亜「な~んて娘に… 栞は… ならないよ」
柴田「えっ?」
真理亜「容子さんの娘だからさ…」
柴田「ああ…」
静子「よかったね~! 柴田君」
柴田「はい ありがとうございます ありがとうございます」
真理亜「ちょっと! 何? 何よ? わっ!」