土曜ドラマシリーズ 「ちゅらさん4」1話「おばぁの涙(なだ)」

玄関前

勝子「シ~ッ!」

一同「シ~ッ!」

居間

恵文「なあ おばぁ 本当に 具合 悪くなってしまったわけ? 俺のせいで? 嫌さ! そんなのは 嫌であるよ 弱ったおばぁなんて 嫌である おばぁは 強くないと駄目! 駄目なわけよ!]

恵文「強くて 正しくて 怖くないと駄目さ そんな 弱ってる おばぁはよ おばぁじゃないさ! 幾つになっても 100歳になっても 200歳になっても こう『恵文 何やってるか?!』って 頭 はたくような それが おばぁさ…! 頼むよ… おばぁ…」

ハナ「恵文 何してるか!(恵文の頭をはたく)」

恵文「おばぁ…! そうさ! おばぁは そうでなければ! …えっ?」

ハナ「ああ おなか すいたさ」

恵文「はあ?」

(3人の笑い声)

勝子「おばぁ そうだと思って おいしいものを買ってきましたよ」

ハナ「ありがとうね」

恵文「な… 何? これ… 恵理! 何がおかしいか?! 恵理!」

恵理「でもねぇ~?」

勝子「ねえ~?」

祥子「はい」

恵文「まったく 寄ってたかって! まあ どうせ そうだろうと 思っていたさ 俺は ちゃんと 見抜いていたからよ」

恵理「今 泣きそうだったくせに お父さん」

勝子「…であるよね」

恵文「そんなわけがあるか!」

祥子「あっ! お父さん 涙の跡が…」

ちゅらさんの画像

恵文「…えっ?」

祥子「ウソです ごめんなさい」

恵文「うっ…」

勝子「祥子ちゃん ナイスだね~!」

恵理「うんうん!」

祥子「ありがとうございます 大分 タイミングが分かってきました」

恵文「みんな 人が悪いね さあ 食べよう 食べようね」

ハナ「はっ!」

恵文「何?」

勝子「まだ 話は終わってません お金の使いみちについて」

ちゅらさんの画像

恵理「そうか そうだったようね」

恵文「何よ もう! せっかく 場が和んできたところなのによ!」

勝子「全然 和んでません」

恵文「いや… だからさ…」

琉美子「こんにちは!」

恵理「あっ 琉美子!

祥子「久しぶりだね」

恵理「久しぶり~」

琉美子「あっ お父さん 今 家の前で これ 預かったんですけど」

ちゅらさんの画像

琉美子「何か 入りづらそうにしていて 私が 古波蔵家に入ろうとしたら これを 恵文さんに渡してくださいって」

ちゅらさんの画像

恵文「おう」

手紙『古波蔵恵文様 やはり お金を お借りするわけにはいきません 自分の親のことですから 何とか 自分の力でしようと思います 本当に ありがとうございました』

ちゅらさんの画像

勝子「どういこと? 文ちゃん」

恵文「その人は タクシー会社で 事務をやっている人だけどよ… あっ 大和の人さ で その人のおばぁがよ その人のお兄さんのところにいたんだけれど お嫁さんと 仲が悪くてよ その人のところに来たいと 言ってきたって あまり 体も 丈夫じゃないらしいし…」

ちゅらさんの画像

恵文「でも その人が住んでるのは会社の寮で おばぁと暮らすのは 無理さ どんな事情があるかは 分からないけれど 少し お金にも困っていたわけ それで 俺は その場で『お金のことなんか 心配しないでいいから おばぁと一緒に暮らしてあげなさい』って 言ってしまったわけよ 嫌なわけよ そういう話が 俺は 一番 大嫌いなわけ!」

ちゅらさんの画像

恵文「おばぁや おじぃが 小さくなって生きるのは 大嫌いさ! 沖縄の 俺が一番好きなところは おじぃや おばぁが 強いところ いばっているところさ それでいいと 俺は思うし そうでいないといけないと思うわけ 何でって… 俺を 産んでくれた人だよ その人がいなければ 自分は この世にいないわけだから… その人を大切にしないで 何を大切にするわけ?」

ちゅらさんの画像

恵文「何で 年をとって 小さくなって 生きなければ いけない?! それは 間違っているさ! おじぃは… おばぁは… いばってて いいわけよ 人より長く生きているということは 人生の先輩ということでしょう? 難しいことは 俺は 分からないけど 世の中は そうでないと 人はそうでないといけないと思うわけ まあ それだけは 沖縄の 自慢できるところさね」

ハナ「恵文… ありがとう」

恵文「おばぁ…」

ちゅらさんの画像

勝子「分かりました」

恵文「うん まあ… そういうことさぁね」

勝子「琉美子ちゃん」

琉美子「はい」

勝子「その人は きれいな人だった?」

恵文「はあ?」

琉美子「なんか きれいっていうか 色っぽいっていうか…」

ちゅらさんの画像

恵文「い… いや…」

勝子「そう それもあるわけね?」

恵文「まあ… そ… そ そ それも… あるけど…」

恵理「それもあるわけ?!」

恵文「い… いや! いやいやいや! それも ない!」

勝子「(せきばらい)」

ハナ「(ため息)」

勝子「分かりました 今年いっぱい お小遣いは なしということで」

恵文「はい! えっ?『今年いっぱい』? 勝子 今 正月だよ! そんなぁ…」

ちゅらさんの画像

ハナ「結局 情けないね!」

恵文「嫌だよ 1年は…! 勘弁してよ…」

お騒がせしましたね こんなオチで申し訳ございませんね

ちゅらさんの画像

一風館
スポンサーリンク







シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする

スポンサーリンク