食堂
愛「ここ いい?」
真衣「うん。」
愛「私 バイトやめたから。 ドルオタも やめる。」
真衣「そう言っときゃいいやって 思ってんでしょ。」
愛「いや そんなことはないよ。」
真衣「あんたの推してるらしい ハナって子さ 結構 やばい噂あるの知ってる?」
愛「え?」
真衣「ネットに出てた。」
愛「いやいや… それさ 日本中の芸能人が 元ヤンか水商売経験者になっちゃう系のやつでしょ?」
真衣「私は それなりに 信ぴょう性あると思ったけどね。 送っといたから。」
愛「これか。 いやいや… いやいや。 あるわけないっしょ。」
ベースメント
小豆沢「おっ おばはん来たか。 ほい。 ウイ~。 この間のあれ…。」
愛「あれ?」
小豆沢「あれ… チャトレの話なんだけどさ ちょっと調べたら 収入の課税の問題で 会社の経理に連絡がいって バレるってことも あるみたいで。 それは気を付けた方がいいかなって。」
愛「調べてくれたんだ。」
小豆沢「うん。 あ… 太いオタの他界は避けたいしな。 けどさ おばはん その… チャトレ? やだったりはしねえのか?」
愛「(ため息)」
小豆沢「おばはんが いいんだったら いいんだよ。 でもさ やなことしてまでっていうのは ハナも負担に思っ…。」
愛「…っていうかさ みんなさ 推しの昔の話とか 知ってたりするもの?」
小豆沢「は?」
愛「例えばさ それで 幻滅することだって あるわけじゃん。」
小豆沢「…?」
愛「いや だから…。」
椎葉「アイドルの過去には 切ない話が くっついてくることも多いですからね。」
愛「切ない話?」
椎葉「例えば ある国民アイドルは 逆境から抜け出すべく 緑の中を 真っ赤な車で駆け抜けたわけですし 芸能界に入る前は 本当に非行に走っていたという人も ある種 特殊な世界に入ってくる バックボーンは さまざまですよ けど そこは過去は過去。 今 頑張ってることに 違いはないんですから 私たちは そこを見てあげなければ いけないんじゃないですかね。」
愛「そうですよね。」
椎葉「そうですよ。」
愛「よしっ! 気合い入れ直そ。 はい。」
小豆沢「はい。」
愛「シャッ。」
ハナ「『病院です。 本当は いけないんですけど 連続配信 誓ったんで』。」
小豆沢「おばはん チャトレの話なんだけど…。」
愛「あっ もう それ やめたから。 うん。」
小豆沢「あっ そっか… うん。」
ハナ「『今日は心配かけて ごめんなさい』。」
愛「何だ? ん?」
ハナ「『光の海みたいって。 すごくきれいで』。」
愛「これは…。」
ハナ「(チャイム)『あっ あっ… 今の音は ナースステーションの音かな』。」
愛「これって…。」
ハナ「『ありがとうございます。 私も 曲がりなりにも…』。」
愛「ごめん。 ちょっと あの 仕事の電話してくるね。 また。」
小豆沢「え… 仕事?」