連続テレビ小説「エール」80話「不協和音」ネタバレ

玄関前

木枯「変わんないですね 裕一は。 まっすぐで純粋で。」

音「フフフ。」

木枯「利用されなきゃいいけど。」

音「うん?」

木枯「あっ いや… お邪魔しました。」

音「あっ お気を付けて。」

木枯「それじゃあ。」

喫茶店 竹

鉄男「これは…?」

保「うどんかん。 寒天の中に うどん入れてみたの。」

華「怖い…。」

保「やっぱ 駄目か…。」

音「また新しいの期待してます。」

保「いや… 実は この店 一旦 閉めることにしたんだ。」

恵「この人ね 近くの工場で働くことになったの。 勤労動員で。」

音「そうなんですね。」

保「こんな状態で店続けるのも しんどいなって思い始めてたんだよね。 代用コーヒーなんて コーヒーじゃないし そんなんじゃ もはや喫茶店とは言えないでしょ。」

音「そっか… 寂しくなるね。」

華「うん…。」

ラジオ『大本営 海軍部発表。 南太平洋 某方面において 我が海軍部隊…』。

(ラジオを切る音)

保「しかたないよね。 そういう時代だから。 まあ 今日は ゆっくりしてってよ。」

恵「うん。 2人とも 今日はお休み?」

鉄男「いや 午後から取材です。」

裕一「これから ラジオ局。」

恵「日曜日なのに大変ね。」

保「裕一君 ラジオ聴いてるよ。 相変わらず 戦果が上がる度に 放送局に呼び出されてるの? 大変だね。」

裕一「まあ 今は 戦意高揚の曲 求められてますからね。」

鉄男「まあ… 大本営の発表と実際の戦況は 結構違うみてえだけどね。」

裕一「うん?」

鉄男「うちの記者の大本営担当が言うには かなり旗色が悪いらしい。 ガダルカナルも転進じゃなくて 本当は退却だった。 米英軍は 南方で 着実に反撃に転じてる。」

裕一「でも 局に来てる軍人は 今は わざと隙を見せて 敵を引き付けてから 一気にたたく大作戦 準備してるって もう少しの辛抱だからって。」

鉄男「そりゃ 軍人は そう言うべな。」

裕一「いや… 新聞社だって 同じ報道してるでしょ? 事実と違うなら どうして それを報道しないの?」

鉄男「そだ単純な問題じゃねえんだよ! あのな 俺たちだって本当のこと…。」

(ドアが開く音)

保「あっ いらっしゃいませ。」

恵「いらっしゃいませ。」

保「奥のテーブル どうぞ。」

回想

「先生 今こそ 更なる戦意高揚が必要な時期です。 ここが ふんばりどころですよ。 気弱になってる連中を 先生の音楽で 奮い立たせてやりましょう!」

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