闇市
古山家
華「お父さん かわいそう。」
音「お父さんを信じよう。」
回想
「『露営の歌』とか『若鷲の歌』とかの 作曲家の家だ。」
「焼けてないんだな…。 作詞した西條八十とかは…。」
裕一「ああ ああ…。」
回想
「戦争で たんまり稼いで…。」
裕一「くそ… くそ…。」
回想
「羨ましいわ。」
裕一「んんっ! うっ…。 ハア… ハア…。」
(ノック)
音「少しは食べないと。」
裕一「書けない。 どうしても書けない。」
音「裕一さん…。 裕一さん。 もう自分を許してあげて!」
裕一「いいのかな…?」
翌朝
音「♬『緑の丘の 赤い屋根 とんがり帽子の 時計台 鐘が鳴ります キンコンカン めえめえ 子山羊も 啼いてます 風がそよそよ 丘の家 黄色いお窓は おいらの家よ』。」