連続テレビ小説「ゲゲゲの女房」第138話「妖怪はどこへ消えた?」

布美枝「そげですね。」

茂「しかも この先 漫画の注文が いつ来るかも分からん。 ひょっとしたら 何年も このままかもしれん。」

布美枝「ええ。」

茂「厳しい闘いになるが やっていけるか?」

布美枝「はい。 なんとかなりますよ。」

茂「頼もしいな。」

布美枝「節約は 得意ですけん。」

茂「うん。」

布美枝「お父ちゃんは 好きなだけ描いて下さい。 日本中の妖怪 世界中の妖怪 お父ちゃんが 全部 絵にして下さい。」

茂「世界中かあ。 どれだけおるか 見当もつかんぞ。」

布美枝「それでも 全部 描いて下さい。 お父ちゃんにしか できん仕事なんですけん。」

茂「妖怪を描いたら 次は 十万億土だ。」

布美枝「え?」

茂「あの世の事も いずれは 形にしていかんといけん。」

布美枝「やる事が ようけ ありますね!」

茂「ああ。 100歳まで かかっても 描き終わらんかもしれんな。」

布美枝「はい。」

茂の仕事部屋

茂「『小豆とごうか 人とって食おうか ショキショキ』と。」

<長くて暗い スランプのトンネルを 茂は やっと通り抜けたのです>

茂「『人とって食おうか ショキショキ』。」

客間

藍子「お母ちゃん その話 信じてるの?」

布美枝「え?」

藍子「だって… 幾ら何でも おかしいよ。」

布美枝「そうかなあ…。 お父ちゃんには きっと 見えたんだよ。 何かを つかもうと 一生懸命だったけん。 お父ちゃんの生きる力が 『小豆洗い』を 見せてくれたのかもしれん。」

藍子「うん。

布美枝「やっぱり お父ちゃんは 本物だ!」

仕事部屋

光男「妖怪辞典を作る?」

茂「今までも たくさんの妖怪を 描いてきたが 改めて その一人一人を きちんと描いて 妖怪大辞典に仕上げようと 思っとる。 話だけ伝わっていて 姿形の分からんものには 色や形を作り 古い絵のあるものも 新しく 一枚絵として 描き起こしていく。」

光男「えらく 手間かかりそうだな。 どっから来た仕事だ?」

茂「ご本人達から 直接 依頼が来た。」

光男「ええ?!」

茂「本になるかどうかは… 分からんのだ。」

光男「おい! こんな時に そんな仕事に 時間かけて 大丈夫か?」

茂「こんな時だからこそだ! 注文がなくても 本にならんでも 描き続ける! 今なら じっくり調べて 納得のいくまで描き込める。」

菅井「面白そうですねえ。」

相沢「ええ。」

光男「兄貴…。」

茂「大仕事になるぞ!」

客間

布美枝「えっ… 障子に目が?」

2人「え~っ!」

茂「詳しく話してみろ。」

喜子「昨日の夜ね 消灯の後 おしゃべりしてたら…。」

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