新横浜ラーメン博物館
夏川「あんた、ちゃんと中原さんこと予習してきた?」
ゆとり「昨日あれから、須田さんに聞きましたよ1990年代におきたラーメンニューウェイヴがどうとか?」
夏川「うろ覚えじゃん、いい?ラーメンニューウェイヴってのは、それまでB級グルメ扱いだったラーメンの価値観ぶっ壊して洗練された高度な麺料理に進化させようって職人さん達が沢山現れた時期なの」
ゆとり「社長!」
ゆとり「社長社長」
夏川「中原さんは内の社長と並ぶ大スターの1人で名古屋コーチンを使った丸鶏ラーメンで一世を風靡したわけ」
麺房なかはら
ゆとり「そんな方のお店がこの状態って不味くないですか?」
夏川「マズイ。だから私達が来たんでしょ」
ゆとり「いや、私が来たんです。先輩は勝手のついてきただけでしょ」
店内へ
中原「君達は昨日の」
夏川「清流企画の夏川です。お世話になります」
ゆとり「この人はただの付き添いなので、担当は私です」
中原「担当?君が?」
早々にクレームをつける中原
中原「どういうつもりだ芹沢社長?内の店の件、あんたが担当してくれるんじゃなかったのか?」
芹沢「そんなことは一言も?」
中原「あんな小娘2人寄越してふざけないでくれ」
芹沢「キャンセルなさいますか?」
中原「もういい、あんたなんぞに頼った俺がバカだったよ」
店内
中原「清流企画への依頼は取り消しだ」
ゆとり「ちょっと待ってください、今来たばかりなのにどうしてですか?」
中原「どうしてもこうしてもないよ。お前達をここに寄越したのは昔のことを根に持っている芹沢の嫌がらせだろ」
夏川「昔のこと?中原さんと内の芹沢の間に何が?」
中原「なんだよ、聞いてねーのか?俺とお宅の社長はな昔同じ店で修業した間柄なんだ、ついでに河上もな」
ゆとり「修業仲間?社長と部長と中原さんが?」
中原「今はもう閉店した勝和軒ってラーメン屋だよ。先輩だった俺が散々いびったのを今も恨んでるんだろうよ」
ゆとり「いびった?」
中原「河上はとにかく不器用だったし、芹沢に至っては女だぞ!俺はなラーメンの世界にチャラチャラした女が入ってくんのが断固反対って考えなんでな」
夏川「なんですかそれ?私もラーメン職人を目指す女の1人なんですけど?」
中原「勝手に目指しゃいいだろ?内では女の店員は雇わねーし女の職人なんぞ認めるつもりもない!これはな、俺の信念なんだ」
夏川「最悪!ずっと憧れてた中原さんがこんな人だったなんて、汐見、もう帰ろう」
ゆとり「え?スイマセン内の先輩が失礼なことを」
中原「君もさっさと帰れ、商売の邪魔だ」
ゆとり「せめて、客としてラーメンを食べていってもいいですか?」
店員「どうぞ」
ゆとり「いただきます」
ゆとり「美味しい、丸のまま煮込んだ名古屋コーチンの出汁に内モンゴル産の岩塩を使ってますね。鶏のうま味がじんわり染み込んでくるような、凄く繊細で優しい味です!こんなに美味しいのに、どうしてお客さん来ないんですかね?」
中原「知らん!食べたらさっさと帰れ!」
外に出たゆとり
通行人A「ここにする?他の店混んでるし」
通行人B「この丸鶏ラーメンって何味なの?」
ゆとり「塩味です。凄く美味しいですよ」
通行人B「塩味」
通行人A「この丸鶏ラーメン極みって丸鶏ラーメンより高いけど、なんか特別なんですか?」
ゆとり「ちょっとそこまでは?」
通行人B「やっぱ、違う所にしない?少しでも並んでも美味しいラーメン食べたいし」
通行人A「そうだね、そうしよっか」
考えながらラーメン博物館を歩くゆとり
各店舗の外観を見ると・・・
ゆとり「わかった!」
再び麺房なかはらへ
ゆとり「中原さん、分かりましたよ。お店がガラガラの原因」
中原「なんだよ、いきなり?」
ゆとり「簡単なことでした。こんなのすぐに解決ですよ」