玄関前
(車のエンジン音)
糸子「おおきに。」
正一「気ぃ付けてな。」
糸子「うん…。 あのな。」
正一「うん?」
糸子「おじいちゃんらに『また来るよって 元気 出してな』って 言うといて。」
正一「言うとく。 まあな おじいちゃんらも お前の事が 好きで好きで しょうがないんや。」
糸子「ウフフッ… うん! おおきに。」
正一「また おいで。」
糸子「うん!」
小原家
小原呉服店
糸子「ほんまに空っぽや…。」
<こない反物 売ってしもて 店は どないなんねやろう…>
善作「何や お前 帰っちゃったんか?」
糸子「お父ちゃん ミシン ほんま おおきに…。」
善作「何をボサッとしてんねや! 早うせな 仕事 間に合わへんぞ!」
糸子「は… せやった!」
「こんにちは。 あれ!」
一同「いらっしゃい!」
善作「あ 毎度~。 お嬢ちゃんの晴れ着 出来てますんで。」
「ちょっと どないしたん これ?」
善作「やかまして すいませんなあ。 糸子! お客さんや。 ミシン やめえ!」
糸子「はい!」
善作「うちとこ 洋裁も 始めましてん。 こっちの方も ごひいきに お願いします。」
「ふう~ん。」
<ミシンが来てから それまで 2階で こっそりやってた洋裁を 今度は 店で 堂々と やるようになりました。 お父ちゃんが『そないしよう』て言いました>
居間
<1月1日。 けど 今年の今日は お正月やなくて 納品の前の日ぃです>
♬~(ラジオ『春の海』)
(ミシンの音)
<気ぃ付いたら いつの間にか 勘助が来とって>
ハル「あんたらも 食べり。」
妹達「うん。」
ハル「おおきになあ。 お母ちゃん 八重子さんに よろしゅう言うといてや。」
勘助「うん。」
ハル「糸子。 あんたも 呼ばれ。 勘助ちゃんが おせち 持ってきてくれたで。」
糸子「うん。」
(ミシンの音)
夕方
糸子「ああ… あ~ ガッチガチや~! う~ん ああ…。」
<ほんで 次に気ぃ付いたら 勘助が 糸くず取りをしてました>