<相変わらず これっちゅう生地は 見つかりません>
木之元「見んな。 見んなて! ほっとき!」
(せきばらい)
小原家
居間
♬~(ラジオ)
<その年の大みそかの夜 ラジオで『紅白音楽試合』ちゅうのが やってました>
♬~(ラジオ)
直子♬『赤いリンゴに 口びるよせて』
直子 優子♬『だまってみている 青い空 リンゴは なんにも いわないけれど リンゴの気持ちは よくわかる リンゴ 可愛いや 可愛いやリンゴ』
(拍手)
<来年は もっとええ年に なりますように>
安岡家
居間
八重子「お母さん。 年越しそば 食べへん? ええわ。 食べよう。 頂きます。」
息子達「頂きます。」
太郎「熱いから 気ぃ付けや。」
三郎「うん 分かってる。」
<みんなが笑って 暮らせる年に なりますように>
小原家
オハラ洋装店
<年が明けて 昭和21年 相変わらず 生地は 軍需用の 払い下げばっかしやけど ほんなんでも お客さんは 日増しに増える一方で 今まで 子守りさせちゃあった りんちゃんも 縫い子に戻ってもらわな あかんようになりました。 ほしたら まあ かなんのが…>
居間
優子♬『丘を越えて 行こうよ。』
直子♬『真澄の空は 朗らかに』
優子「うるさい! うるさい!」
♬『晴れて』
優子 直子♬『楽しい こころ』
清子「優ちゃん。」
光子「直ちゃん。 うるさい!」
♬『讃えよ わが青春を いざゆけ 遥か希望の丘を越えて』
(畳をたたく音)
糸子「この… ほんまに! あんたらは… こら!」
直子「堪忍!」
優子「堪忍!」
糸子「言うたやろ! ほれ! ほれ! 外 行け。」
「嫌や 行きたくない。」