連続テレビ小説「カムカムエヴリバディ」第96話「1992-1993」【第20週】

勇「るいが 居場所を知らせる気も 手紙やら電話やら よこす気もねえ いうことを。 もう二度と岡山に帰ってくる気がねえ いうことを。 それが こねえして 元気な姿見せてくれて…。 旦那さんやら 娘やら 息子やら連れてきてくれるたあ…。 うう… こ… こねん うれしいこたあねえ。」

(すすり泣き)

るい「勇叔父さん。 長い間 心配かけてごめんなさい。」

(立ち上がるひなた)

るい「ひなた。 何やの 食事中に。」

ひなた「これ 誰?」

るい「お母ちゃんの おじいちゃんと おばあちゃんや。」

ひなた「こっちは?」

勇「るいのお父さんじゃ。 わしの兄さんじゃ。」

ひなた「私と桃のおじいちゃん?」

勇「そうじゃ。」

桃太郎「かっこええなあ。」

ひなた「うん。 こんなん自慢のお父さんやん。」

るい「お母ちゃんは会うたことあらへん。」

ひなた「えっ そうなん?」

勇「るいが生まれる前に 兵隊に取られてしもうたからのう。」

ひなた「ああ…。 うん? おばあちゃんの写真は? あらへんの?」

雪衣「確か アルバムと一緒にしてえたはずじゃ。」

雪衣「はい。」

るい「お母ちゃんの お母さんや。」

ひなた「ふ~ん。 うん? この人は?」

るい「勇叔父さんや。」

ひなた「えっ。」

勇「フッ ヘヘヘヘ…。 ああ… 今年は兄さんの… るいの親父の五十回忌じゃ。 いや… 兄さんだけじゃねえ。 終戦の年に亡うなった人 みんなの 五十回忌じゃ。 できることじゃった 終戦の日まで 岡山におってくれたら ええ供養になろうがのお。」

正門前

桃太郎「それでな…。」

勇「うん。」

桃太郎「2年の夏に やっとレギュラーとってな。」

勇「うん。」

桃太郎「告白しようて決めてん。」

勇「お~!」

桃太郎「甲子園行けたら その人に告白しようて。」

勇「おう!」

桃太郎「そやけど…。」

勇「うん?」

桃太郎「その前に ほかの男と結婚してしもた。」

勇「あ~!」

桃太郎「それで 僕の初恋は終わったんや。」

勇「ふ~ん。 桃太郎。」

勇「うん? おなごを好きになった時ゃあ 甲子園出れたら あれができたら これができたらいうて 先延ばしにするんじゃねえ。 絶対 報われんぞ。 うん。 フフッ ハハハハ…。」

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