喫茶店・ディッパーマウスブルース
ホール
健一「はい お待たせ。」
錠一郎「えっ…。」
健一「錠一郎君は ホットドックが好きじゃあいうて 父さんが よう言ようったから。」
錠一郎「ああ ありがとうございます。 うれしいなあ。 頂きます。」
健一「どうぞ。」
(ドアが開く音)
慎一「いらっしゃいませ…。」
健一「いらっしゃいませ…。」
(ドアが閉まる音)
「お前。 ふざけんなよ。」
錠一郎「トミー。 久しぶり。」
トミー「お前 こぼすなよ!」
錠一郎「あっ… ごめん ごめん ごめん。」
トミー「変わってへんなあ お前は。」
錠一郎「トミーも。 コーヒーでいい?」
トミー「ああ。」
健一「聞こえた。 どうぞ。」
トミー「なあ ジョー。 お前 俺が どこに住んでるか知ってるよな?」
錠一郎「東京やろ?」
トミー「そうや 東京や。 そして ここは岡山や。 いきなり電話してきて 茶ぁ飲まへんかいうて 呼び出す場所ちゃうやろ。」
錠一郎「ハハハハッ。 ごめん。」
トミー「ごめんやないねん。」
錠一郎「ありがとう 来てくれて。」
♬~(レコード 『Red Hot』)
慎一「あの… トミー北沢さんですよね?」
トミー「ああ いかにも。」
慎一「やっぱり!」
錠一郎「サインしてあげたら?」
トミー「ああ。」
慎一「いいんですか!? あ… 少々お待ちください。 あの… お願いします!」
トミー「はい。」
慎一「あ… ありがとうございます!」
健一「すいません。 ありがとうございます。」
慎一「家宝にします。」
錠一郎「やっぱりええなあ。 トミーのトランペット。 久しぶりに聴いたけど やっぱ最高や。」
トミー「何やと? 久しぶりとは 何事や お前 聴いてへんかったんかい。 この30年に出し続けた 俺の数々のアルバムを。」
錠一郎「うん。」
トミー「おい!」
錠一郎「でも 全部買ってるよ。 これから聴く。 全部聴く。 トミー。」
トミー「何や。」
錠一郎「あのね トミー。」
トミー「何や 何や。 怖い。 ハハッ 怖いで。」
錠一郎「すぐにやなくてええんやけど…。 トミーのバンドに 入れてもらわれへんかな。」
トミー「え…。 お前… 吹けるようになったんか? トランペット。 ほな…。」
錠一郎「鍵盤を… やってみようかなと思ってる。 ずっと トランペットが全てやと 思ってたけど… 演奏することが楽しい。 演奏で 人が踊ったり笑ったりしてるのが うれしい。 そう思えるようになったんや。」
トミー「何や… よう分からんけど サッチモちゃんのためなんやろ?」
錠一郎「うん。」
回想
るい「お母さんを捜しに…。 アメリカに行きたい。」
回想終了