連続テレビ小説「ちむどんどん」45話「てびち!てびち!てびち!!」

おでん屋台

暢子「どうぞ。」

ヨシ「はい。 おいしい…。」

暢子「よかった~。 ありがとうございます。」

ヨシ「普通のおでんみたいだけど この出汁 どう作ったんだい?」

暢子「実は…。」

客「いや~ 寒い 寒い。 いい?」

暢子「もちろんです! いらっしゃいませ!」

ヨシ「いらっしゃい。 お二人?」

客「後で もう一人来るんだ。」

ヨシ「ヨッコイショウイチ。 座って 座って。」

客「ありがとう。 俺は とりあえず大根と卵。」

客「俺は ちくわとはんぺん。」

暢子「はい! 承知しました。」

客「しみるなぁ!」

客「体の芯まで あったまるぜ。」

暢子「ありがとうございます! あの 一つ おすすめのタネが あるんですけど 試してみませんか?」

暢子が 店を任されてから ひとつき。 屋台は お客の口コミで 連日大盛況となりました。

客「ごちそうさまでした。 また来ます。」

暢子「ありがとうございました。」

そして ある日の閉店間際。

客「おっ 雪だ…。」

暢子「おっ…。 はぁ~…。 オーナー!」

房子「頂きます。 うん…。」

暢子「どうですか・」

房子「この出汁 豚を使ってるわね。」

暢子「はい。 それと… これ。 大人気の豚足です。」

房子「沖縄の足てびち。」

暢子「おでんに 絶対合うと思って。」

房子「肉の下ごしらえも丁寧 出汁の味付けも 深みがある。」

暢子「ありがとうございます! 出汁は 料理の基本。 近頃のうちは 変わった味付けや 材料に こだわり過ぎて 基本の大切さを忘れていました。 イタリア料理も おでんも 基本が 一番大事。」

房子「全部 自分で考えたの?」

暢子「はい! と 言いたいところですけど シェフに言われたことを思い出したり いろんな人に ヒントをもらって。」

房子「あなたの言うとおり おでん屋台の基本は出汁。 その日の天気と気温に応じて 出汁の温度や 微妙な塩加減を変える。 労働者の町なのか サラリーマンが多いのか できるだけ お客様に合わせた味を心がける。」

暢子「ちょっと待ってください。 メモします。『来たお客様』…。」

暢子「オーナーも 昔 基本を大事に 屋台を切り盛りしていたんですよね。 ヨシさんから 聞きました。 妹さんのことも。 すいません…。」

房子「ちょうど あなたと同じ年恰好だった。 空襲で生き別れて どこかで生きていてくれると信じて ずっと捜し続けて…。 2年たって 最期を みとったという人に出会って ようやく 諦めがついた。」

暢子「10年前 オーナーに 引き取られるはずだった子供は うちなんです。」

房子「知ってる。」

暢子「えっ? 知ってたんですか?」

房子「私は ただ 働き手が欲しかっただけ。 ごちそうさま。」

暢子「ちょっ ちょっと待ってください! もっともっと 聞きたいことが。」

房子「ヨシさんに引き継いだら 来週は あなたが前菜担当。 それと 賄い当番も。」

暢子「アイヤー! ということは? やった~!」

レストラン・フォンターナ

こうして 暢子は 無事 フォンターナに復帰しました。

厨房

暢子「ん~…。」

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