客室
(ノック)
満田「誰だ?」
謙次「あの 弁護士の待田謙次と申します。」
満田「何の用だ?」
謙次「あなた以前 奥さんと息子さんに暴力を振るって裁判所から接近禁止命令が出ているハズですが 警察に通報すれば 即刻捕まえることが出来るのご存じですか?」
満田「接近禁止期間は6か月だから もう過ぎている 警察も呼びたきゃ呼べ 火つけてやるから。」
謙次「そんなことをしたら 本当に奥さんと会えなくなるんですよ。 それでも いいんですか? このまま出て行ってくれたら 奥さんは 訴えるようなことはしないって言っているんです。 その気持ちを汲んで もう自由にしてあげてくれませんか? 奥さんを本当に愛しているのなら。」
扉が突然開く
一同「うわ!」
満田「先生!」
謙次「あ! あ。」
満田「暴力を振るったことは 本当に反省しているんです。 俺はもう1度 家族3人でやり直したいんです。 これからは心を入れ替えて 真人間になります。 女房も子供も二度と殴らないと誓います。 信じて下さい!」
謙次「わ!」
満田「先生! 俺から家族を引き離さないで下さい。」
謙次「ちょっと 君!」
食堂
蘭「そんな言葉 信じたんですか?」
謙次「いや… そういうわけじゃないですが 2度と暴力は振るわない 反省してるって言われると 私としては 引き離す手立てがなくて…。」
蘭「もう いいです。」
サト「ちょっと どうする気?」
蘭「こうなったら 私だけでも あいつと一緒に行きます。」
サト「え? じゃあ 士郎は?」
蘭「女将さん すみませんけど 預かってもらえませんか?」
純「なに言ってるんですか? ダメですよ そんなの 親子がバラバラになるなんて。」
蘭「だってもう 他に方法がないじゃない。」
謙次「愛。 かあさんなら なんとか出来ると思っているんだろ?」
愛「ああ… ああ いや…。」
謙次「いや 僕もそう思うから。 電話してみたら?」
サト「え どういうこと?」
純「あ あの 愛君のおかあさん もの凄く優秀な弁護士さんなんです。」
サト「おとうさんと違って? あら? ごめんなさい。」
謙次「いえいえ 実際そうだから いいんです。」
愛「実は もう電話したんですけど 全然 返事帰ってこなくて…。」
謙次「そっか…。」
愛「すみません。」
純「私 行ってくる。」
愛「え?」
純「おかあさん 説得して 朝までに必ず連れてきます。 だから それまで 待っててください。 セクシーさん。」